「美咲っ」

「あ!おはよ!絵美!」

「美咲は持ってきた?アレ!」

「…一応、ね…まあきっと貰ってもらえないけどなー?」

「だいじょーぶでしょ!美咲なら大丈夫だって!」

「そー?」

「うん!美咲なら絶対大丈夫!あたしが保障する。いっつもふざけあってるし、常に一緒に行動してるしー!

 万が一美咲が振られたら私がアイツ殺ったげるし!」

「…でさ!絵美もあげるわけ?チョコ!」

「いんや、あげないよー!貰う専門に決まってるでしょー」

「だよなー!ってことではいコレ!いつもありがとな!」

「あっりがとー!美咲大好きー!」

「あたしも絵美好きだぞーっ」



俺は聞いてしまった。

廊下で話す亜月と―美咲の話を。

今日はいわゆるバレンタインデーだ。

そんな日に、あげる・貰う・チョコなんて告白イベントにしか思えない。

美咲は…いったい誰に?

美咲を好きな奴はいっぱいいるし、美咲にだって好きな奴くらいいると思う。


もしかして、俺―?

いつもふざけあってて、常に一緒に行動してる。

そんなのは、俺くらいかもしれない。


アイツが、幸せでいればいいな、とか思えない。

いや、単に、自分の、都合のいいように考えているだけ。

アイツと俺が、好きあってればいいなとか、思ってしまう。

もし、俺じゃなかったら―?

そっちの確立のが高いのに、俺はなんでこんな期待をするんだろう―?

変にもやもやした感覚が頭の中をよぎる。

このもやもやから逃れたいがために、俺はそそくさと教室に入って机にうつ伏せになった。



「あー、何コレ」


机の中には小さな箱や手紙がいっぱい。

中身は…チョコやら得体の知れない物体やら手紙やら。

その中に、ノートの切れ端を見つけた。

そこには、

『今から、特力教室に来い』

と書いてあった。


何コレ…?

リンチ…―?

いや、そんな怖いことを考えるのはよそう。


それじゃ、告白―?

ってか特力の誰かなのか!?

蜜柑とか普通の子ならきっとちゃんとしたレターセットに入れてよこすだろうし、

殿とかメガネではまずナイし。

亜月は貰う専門…てか男嫌いだし、



それなら…美咲―?



俺は小さな期待を胸に、特力教室に入った。

自分が馬鹿なのは百も承知だ。


「あっ…翼…」


そこにいたのは―美咲だった。

後ろに、何か隠しているようだった。


もしかしたら、期待どおりになるかもしれない…!

ちょっと小躍りしてしまいそうなくらい嬉しい。



ちょっと待てよ。

美咲がいれる席を間違えてたのなら俺じゃない。

美咲がチョコ渡したり、告白するんじゃなくて別の意味で呼び出しただけかもしれない。

ちいさな期待も、一瞬で崩れ去るようなことを言われるのかもしれない。

今までの俺は…馬鹿だった…―


「あ、ごめん、俺帰るな」

「ちょ!翼!まって!コレ!」



美咲から差し出されたのは、ピンク色の箱。


「こ、コレやる!べっ、別にアンタのために作ったんじゃないんだからな!あまり物!」

「…!あ、ありがと…」


俺は感動しすぎて、嬉しすぎて。


いつの間にか美咲を抱きしめてた。


「ちょ!?翼っ///!?」

「美咲…俺、美咲のこと好きだ…」

勢い余って告白してしまった。

どうしてだろう、あまり物だろうが、なんだろうが。

嬉しすぎた。今まで生きてて一番幸せだと思えるくらいに。

その感動にのせて告白してしまった。

正直、じぶんがアホらしー。

まぁ、振られても、チョコがもらえたしいいかなー…



「アホ翼!遅すぎる!」

「…へ?」

「あっ、あたしだってずっと翼のこと好きだったんだからな!」

「え…?」

「何回も言わせるなっ!翼のことが好きだって言ってるだろうが!」


俺はもう一度、真っ赤になっっている美咲を強く抱きしめた。





もう、一生離してやらない。

ずっと、自分で護ってやりたい。

今日という日が、世界で一番幸せでありますように―



僕らのハジマリ(ずっと、護るよ)




ということで!バレンタインフリー小説です!
gdgdな感じになりましたが、ちっこっとナルシ…というかなんというか。
美咲好き好きな翼を書きたかったんです(笑)

2月いっぱいフリーですので、よかったら貰ってやってください!
掲示板などに一言残していただけると嬉しいです><
フリー配布期間終了いたしました。
2008/2/14  夕笑燈深