「沙都子達、寝た?」
「はい、もうぐっすりですよー。
私ももうお風呂入って寝ますね。
悟史君もちゃっちゃと寝ちゃってくださいよー」
「…むぅ、詩音がお風呂出ないと、僕入れないんだけど…」
「じゃあ、一緒に入りますか?」
「詩音、本気?」
「冗談です☆」
昭和59年、夏。
悟史が目覚めてから、沙都子はもちろん、梨花や羽入は北条家に住まうようになった。
そして詩音は最近、毎週土曜日の夜に北条家に泊まりにくるのだった。
悟史や沙都子、梨花や羽入の世話などに一生懸命。
悟史は申し訳ないようにしているのだが、詩音にとっては週末の楽しいひと時なのである。
もうすぐ、悟史が目覚めてから1年が過ぎる。
そして、悟史と詩音が付き合いだして、半年――――
「お風呂あがりましたよー、さぁ、入っちゃってください。何かあったら呼んでくださいね」
「むぅ、詩音は心配性だなぁ」
そんなことをぼやきながら悟史は浴室へ向かう。
詩音は窓から外を見上げ
る。
空には満点の星が幾つも輝きを放っている。
優しくて、儚く、切ない、でも綺麗な光。
「沙都子…悟史君…」
詩音はすぐ横に寝ている沙都子の髪を撫でる。
そして、こう呟いた。
「…もう、消えないでください。いつまでも笑っていてほしいんです。大好きなんですから、2人とも、幸せで居なきゃ駄目なんですよ?」
今宵も星に願います。あなた達がずっと幸せで笑っていられるように―
今宵も願う、小さな星に願いをこめて